2014年12月12日金曜日

現実的「中道」の大切さ

現実的「中道」の大切さ

公明新聞:2014年11月6日(木)付
福祉の改革へ、まい進を
結党50年 公明党を語る
読売新聞特別編集委員 橋本 五郎 氏
政党が存続するには、存続するだけの意味がなければならない。しかも、単純に存続すれば良いということでもない。結成50年の公明党は「大衆とともに」という立党精神を掲げ、既存の政党では吸収できなかった層、日本社会の中でこぼれ落ちた人の声を吸い上げようと努めてきた。そのことが50年間存続している一番の理由だろう。

私は、あまりに極端な政治の姿は好ましくないと思っている。政治の場で、片方の意見が絶対に正しくて、もう片方が絶対に間違っているということはない。できるだけ多くの人のコンセンサス(合意)を求めていくことは簡単ではなく、非常に辛抱強さが必要な作業だ。その意味で、公明党が掲げる現実的な「中道」路線こそ日本の政党にとって大切なものではないか。事実、PKO(国連平和維持活動)、社会保障と税の一体改革、今回の安全保障法制の議論の時もそうだった。

中道とは、時代によって政策が変わると思う。時には「軸がない」「曖昧」と言われるかもしれないが、決して極端に走らないという意味で大事なことだ。政策を判断するにあたって、常に「不利になっている人はいないか」との思いをめぐらせることが必要だ。

政党が掲げる理念と実際の行動にはどうしても乖離が生じる。そこで大切なのは「自分たちの理想に向かって、こういう階段で進む」と常に国民に示す努力だ。自ら掲げた政策がすぐできるかのように誇大広告したり、自らの基本政策や政策実現性を問うことなしに、外に向かって“社交”をやろうとする政党はダメだ。

日本は、寛容で慈悲を重んじる国だ。現代的に言えば、慈悲とは福祉とも言えるだろう。慈悲は恩着せがましくなく、奥深いものだ。公明党は福祉の党を標榜している。今は福祉をどう効率的に、持続していくかが問われている。今後は「福祉の改革の党」として、安心できる社会保障の構築をお願いしたい。その実現には、消費税増税などある程度の負担は必要だろう。

日本社会は「分厚い中間層」に支えられ、安定を生み出してきた。公明党はこうした層を支えるとともに、そこからこぼれ落ちた人を助ける視点を大事にしてほしい。今で言えば「格差」の問題だ。多くの人たちは、実態を示す数字上の「格差」以上に格差の広がりを実感している。地方組織を持ち、約3000人の議員がいる公明党は、このことを念頭に置きながら、党を挙げて格差是正に取り組んでほしい。