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2013年12月10日火曜日

【日本経済新聞 2013/12/10 12:31  中教審が答申へ 】


中央教育審議会(中教審)の教育制度分科会は10日の会合で、教育委員会改革の最終的な答申案をまとめた。首長を教育行政の最終的な決定権限を持つ「執行機関」とする案を多数意見とする一方で、従来通り教育委員会を執行機関として残す案も併記した。中教審は13日の総会を経て、下村博文文部科学相に答申する予定。

分科会は当初、教育行政の最終権限を首長に移す案に一本化する方針だったが、「首長が学校現場に介入しやすくなり、政治的な中立性が保てない」との懸念に配慮。自民・公明両党の一部からも異論が出たことから両論併記にとどめた。

文科省は今後、政府・与党の協議で結論をまとめ、来年の通常国会への地方教育行政法改正案の提出を目指す。

答申案によると、最終権限を首長に移行する案は、首長を「執行機関」と位置付け、自治体の教育施策の目標などを定める「大綱的な方針」を首長が決定。首長が任命・罷免権を持つ教育長が「事務執行の責任者」として施策を行う。

教育長の独立性を確保するため、首長が直接指示できるのは、教育長が行う事務執行が著しく適正を欠いた場合や児童、生徒の生命や身体の保護のため緊急の必要がある場合など「特別な場合」に限定した。

従来教育行政の基本方針を決定していた教育委員会は、首長の「特別な付属機関」として、首長の大綱的な方針を審議したり、教育長の事務執行を点検・評価したりする組織となる。首長や教育長の事務執行が大綱的な方針に違反した場合や政治的中立性の確保のため必要がある場合は、首長に勧告できる。

一方、教育委員会に最終権限を残す案では、教委は大綱的な方針の決定権限を持つ。日常業務の責任者は教育長とし、教育委員会は日常的な指示は行わないとした。

教育委員会改革を巡っては、政府の教育再生実行会議が4月、「教育行政の責任の所在があいまい」として、教育長を地方教育行政の責任者として位置付ける提言をまとめていた。