2014年3月8日土曜日
参-予算 2014年03月05日@その7
【質問要理】PKOについて(総理、官房長官)
・PKO法に基づく物資協力において譲渡される物資にはそもそも武器弾薬は想定されていない。国会でも仮に要請があっても断ると答弁していたのではないか。
・同様な事態が発生した場合、今回のように「緊急事態における例外的な措置」として正当化するのか、それともこうした緊急事態がおきることに備えてPKO法を改正するという対応をとるのか。
【速記録】
186-参-予算委員会-007号 2014年03月05日(未定稿)
○山本香苗君 最後に、PKOについて総理にお伺いしたいと思います。
昨年の末、政府はPKO法二十五条に基づいて国連を通じて南スーダンでPKOを展開する韓国隊に銃弾を無償譲渡することを決定されました。しかし、PKO法に基づく物資協力において譲渡される物資には、従来、武器弾薬は含まれていないとされてきました。また、仮に要請があっても断ると国会で答弁されておりました。従来の見解を変えたんですか。
○国務大臣(菅義偉君) 昨年十二月のこの件について、もう一度、どういう状況の中で決定したかということをまず御説明をさせていただきたいというふうに思います。
南スーダンの治安情勢が非常に悪化する中で、国連南スーダン・ミッション及び韓国政府より我が国に対して、不足している弾薬の提供要請がありました。韓国隊の隊員及び避難民の生命、身体を保護する一刻を争う状況であったということです。そして、韓国隊の小銃に適用可能な弾薬を保有するのは、現地においては自衛隊のみであったということであります。そういう中で、緊急の必要性及び人道性、さらにはそうしたものが極めて高いという判断の下に官房長官の談話を発出をして、武器輸出三原則等によることなく、国際平和協力法第二十五条に基づく物資協力、その枠組みで譲渡することを決定したのであります。
委員御指摘のとおり、元々、平成四年の国際PKO法制定時においては、政府は武器弾薬供与が要請されることを想定しておらず、要請があっても断るということを答弁をしておりました。しかしながら、PKOに参加する各国部隊は基本的に自ら必要な武器弾薬をあらかじめ携行していくのがそれは当然のことだという前提の上に立って政府が基本的な答弁を述べたのでありまして、緊急事態における例外的な措置まで排除する趣旨ではなかったというふうに考えております。
本件の提供に当たっては、国家安全保障に関する外交・安全保障の課題であるとの判断から、いわゆる国家安全保障会議、四大臣会合を開き、さらに、文民統制という観点から九大臣会合も重ねて審議を行った結果、閣議決定を行うという手続を慎重に取った上で提供させていただいたことであります。
○山本香苗君 緊急事態における例外的な措置まで排除する趣旨ではないという理由でPKO法に適用されたということなんですが、そもそも自衛隊の活動というのは、想定外だとか緊急事態の局面に遭遇する機会はいっぱいあります。その都度、想定外だとか緊急事態における例外的な措置という理由で言い逃れをしていると、法律があってないようなものになりかねません。
特に、安全保障の分野で緊急事態における例外的な措置で正当化してしまいますと、何でもできてしまうようなことになりかねません。このままでは法治国家としての内閣の立法行為に信用を失うことになりかねないではないかと考えますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘のとおりでございますが、基本的にはこの韓国隊に対して弾薬を提供したということは、元々は必要な弾薬、武器は携行していくという前提の下でございまして、今回、弾薬が極めて少ないという状況の中において弾薬を提供しないということは、韓国隊の隊員あるいは韓国隊の人たちの助けを求めてやってきた避難民の命を危うくするという危険性がある中において、これは当時は想定していなかったということで例外的に出したものでありますが、基本的には、言わば安全保障に関わること、あるいはまた自衛隊の行動に関わることについては、しっかりと事前に、事態の前に議論をしていくことが重要ではないかと、このように考えております。
○山本香苗君 であれば、同様の事態が発生した場合、今回のように緊急事態における例外的な措置として正当化するのではなく、こうした緊急事態が起こることに備えてPKO法を改正するという対応を取られるんでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) まず、今回のその適用でありますけれども、先ほど申し上げましたが、まさに緊急性、人道性が高いという判断の中で、やはり当然日本は法治国家でありますから、内閣法制局始め関連省庁とも内容を詰めた上で、このPKOの物資協力の枠組みで譲渡したわけであります。
今後、そうした同様のものが発生する場合も、国家安全保障会議において審議を行い、個々に慎重な判断をしていきたいと思いますけれども、現在、このPKOの参加の在り方について安保法制懇の中で様々な検討が行われているところであります。そういう中で、懇談会の報告を踏まえて、今委員の御指摘がありました、そうしたことも十分踏まえた中で判断をしていきたいと思います。
○山本香苗君 終わります。