2020年6月24日水曜日

【動画・字幕付】タワラモトンタクシー

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参議院地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 2020年5月29日
奈良県田原本町 タワラモトンタクシー
201-参-地方創生及び消費者問題に関する特別委員会-008号 2020年05月29日
○山本香苗君 まだまだ地方分権進めていかなきゃいけないという中で、今日はちょっと一つ、青木国土交通副大臣にもお越しいただきましたので、地域公共交通というところにちょっと絞って質問させていただきたいと思います。
 この地域公共交通における分権改革というのは、この間どれぐらい進んだと実感、認識されていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(菅原希君) お答えいたします。
 地域公共交通分野につきましては、平成二十五年の第四次地方分権一括法におきまして、自家用有償旅客運送の登録、監査等に係る事務、権限を希望する都道府県又は市町村に移譲するため道路運送法の改正を行ったほか、平成二十六年には、地方公共団体が、町づくりなどの地域戦略と一体で公共交通ネットワークサービスを提供できるよう、地域公共交通網に関する計画の策定主体と位置付ける地域公共交通活性化再生法の改正などが行われたところでございます。また、地方の発意に根差した取組を進めるため平成二十六年から導入いたしました提案募集方式におきましても、地方からの個々の提案を受けて自家用有償旅客運送の活用促進、地域公共交通会議等の運用改善などの対応を行ってまいったところでございます。
 これらの取組によりまして、地域公共交通分野においても地方分権の進展が見られたものというふうに認識をいたしているところでございます。
○山本香苗君 一定の進化はあったと思うんですが、私はまだまだ足りないと思っております。
 北村大臣、奈良県の田原本町という町を御存じでいらっしゃいますでしょうか。奈良盆地の中央に位置する人口約三万人の町でございまして、路線バスというのはかつて病院に行く一路線だけあったんですけれども、それも三年前になくなりました。それ以前から地域住民の足の確保というのが町の大きな課題となっておりまして、平成二十二年度にはデマンド型の乗り合いタクシーを導入しました。停留所も、地域の住民の方々の声を聞きながらどんどん増やしていって、二百か所まで増やして、そして予約可能時間だとか運行時間もどんどん増やしていったと。それによって、料金もすごく安くて、町内で、大人であれば三百円、小学生だったら百五十円、こういう形でやっていたので、登録者数というのはぐっと増えて、平成二十八年には二千人を超えたと。
利用者も一日二十人以上と着実に増えていったんですが、よく中身を見ていくと、登録者の僅か〇・五%の方が繰り返し繰り返し使っているだけだったという状況が分かってまいりまして、そこでもう一回、平成二十九年四月に町として町民に対して乗り合いタクシーについてのアンケート調査を実施したところ、利用しなかった主な理由が、予約が取れないと、予約方法が煩雑だと、そして特に高齢者の方々から言われたのは、停留所への移動が困難、たくさんつくっても、もうラストワンマイルじゃないですけど、そこまで行くのが大変というお答えがたくさん寄せられたそうです。
また、乗り合いタクシーに代わる制度としてどういう制度を希望するんですかという問いに対しては、通常タクシーの運賃に一定補助というのが最も多かったそうです。そこで、町として、平成三十年七月から、タクシーの初乗り運賃を補助するタワラモトンタクシー事業というものをスタートされたそうです。七十歳以上の方、就学前の児童、妊婦さん、身体障害者手帳所持者の方等々、自主的な移動が困難な方々に対して初乗り運賃六百八十円を助成するチケットを発行されています。これによってドア・ツー・ドアの移動が可能になって、予約、利用も自由になりました。何人乗っても運賃は同じですから、予約、利用も、同じなので、乗り合いタクシーのときよりも乗り合いが進んでいるそうです。
また、この事業を町内のタクシー事業者に委託しているわけなんですけれども、乗り合いタクシーのときに課題となっていた町内のタクシー事業者とのすみ分けというのを全く気にしなくてよくなりました。で、事業を拡大することができました。この結果、従来の乗り合いタクシーのときよりも利用者数も増えて利用回数も六倍近くになっております。また、副次的な効果ではあるんですが、こういう形で町の人がちゃんと使ってくれるということが見込まれるので、タクシー事業者の方も車を買い換えられたと、そういった効果も出ているそうです。
移動支援というものを本当に必要としている町民を置き去りにすることがないように、常にこの町民のニーズを把握しながら、関係者間で協議を重ねに重ねて試行錯誤しながらようやくたどり着いたのが、先ほど言ったタワラモトンタクシー事業なんですね。
そして現在は、このコロナの中で、もう一ひねりありまして、外出するのが怖いといった高齢者の方々の要望を踏まえて、タクシーを活用した買物支援を開始されて、その初乗り料金を補助しているそうです。そうすると、片道料金だけで買いたいものが買えるということで、大変好評いただいているそうでございます。
私は、大変シンプルで本当に地域の自主性が生かされた取組だと思うんですが、北村大臣、御感想をいただけますでしょうか。
○国務大臣(北村誠吾君) 御質問のお知らせをいただきまして、にわかではありましたが勉強させていただきました。
地方交通につきましては、過疎化の進行とそれに伴う路線バスの撤退と、こういうことが頻繁に起きております、残念ながら。これを踏まえて、生活交通の確保ということが重大な問題になっております。高齢化の更に進展が進んでおりますから、移動に制約のある方々の移動手段の確保が、高齢者に限らずいろいろな支障のある方々に大変必要ということが叫ばれておる、その地域における重要な課題となっておるということを認識しております。
私の生まれた小値賀町でも町内に町立診療所一つございますが、産婦人科がないために、定期検診受診のために、本土との往復に掛かるフェリー代を補助する地域独自の取組を行っておりますが、やや似たような取組かなと思いながら感じ入ったところで、御紹介をいただきましたこのすばらしいタワラモトンタクシー事業については、地域の課題に対し、委員が御指摘のように、関係者が、役場も事業者も住民も一体となって協議に協議を重ねて、この現場の知恵と工夫によって具体的なタクシーチケットを出すというふうなことで、本当に使いやすい、さあ電話をしろ、何をしろと言われる面倒なことも伴わずにタクシーチケットを用いて初乗り料金を支払うことができると。
デマンドタクシーとかいろんなすばらしい取組もありますけど、タクシー協会の協力によってタクシーチケットを用いて、そして非常に利便性が高く、頻繁に利用することができるすばらしい仕組みであるなと思い、こういったことは全国に横に広げていくということはあってしかるべきと思ったところであります。
○山本香苗君 私もあってしかるべきだと思うんです。
それで、今週の水曜日に成立いたしました改正地域公共交通法におきまして、地域旅客運送サービス継続事業というものが新たに創設されました。この事業というのは、路線バスの維持が困難と見込まれるに至った段階で、市町村等が関係者とサービス継続の在り方を協議し、持続可能性を重視しながら次の輸送サービスを確保することを目的とした制度でありますが、私は、まさしくこの田原本町の取組というのはこの地域旅客運送サービス継続事業に該当するというか、モデルとして事業が制度設計されているのではないかと考えますが、国土交通省、金井さん、よろしくお願いいたします。
○政府参考人(金井昭彦君) お答えいたします。
先生御指摘のとおり、先般成立しました改正地域公共交通活性化再生法におきまして、この地域旅客運送サービス継続事業を創設いたしました。これは、路線バス等が困難見込まれると至った段階で、市町村等が地域の関係者と継続して協議して、公募により代替サービスを導入する制度でございまして、この新たな制度によりまして、地域の実情に応じて、コミュニティーバス、デマンド交通、そしてタクシー等の中から路線バスに代わる最適な旅客運送サービスが円滑に選択していただけるようになると思っております。
今後、改正法の施行に向けまして運用の詳細を検討してまいりますけれども、実際に市町村等に御活用いただく際には、地方運輸局なども通じまして国がノウハウ面でバックアップすることが重要だと考えておりまして、お尋ねの田原本町の御提案につきましても、本事業の活用も含めまして、私ども本省と地方運輸局が連携してきめ細やかに対応させていただきたいと考えております。
○山本香苗君 いや、聞いていないんですよ。そういうことじゃなくて、該当するかどうかと聞いているんです。クリアにお答えください。
○政府参考人(金井昭彦君) この地域旅客運送サービス継続事業につきましては、改正法の施行後に困難になったようなものに対しての適用制度でございますけれども、この田原本町で御活用いただけるかどうかにつきましては、今後の具体的な計画内容によるものと承知しておりますけれども、いずれにせよ、御提案につきましては真摯に検討しまして、私どもと運輸局でしっかり相談等に乗りながら、今後対応を検討していきたいと思っています。
○山本香苗君 是非よろしくお願いしたいと思いますが、先ほど大臣からも、あってしかるべきだと、こういうのは全国でできているように、本当にそうでして、北海道や九州、いろんなところからここに視察に来られているそうです。本当に皆さん困っているんですね。
 青木副大臣、お伺いしたいと思うんですが、この地域旅客運送サービス継続事業におきまして、今、継続する最後のメニューですね、その中に通常タクシーを活用することも選択肢の一つとして想定をされております。
でも、現時点におきましては、こういったタワラモトンタクシー事業のように、通常タクシー運賃への補助に対する事業というのは、公共交通としての補助や特別交付税の対象になっていないんですね。田原本町によりますと、乗り合いタクシーのときは、特別交付税で千二百円、そして町負担で三百円、合わせてだから一回で千五百円掛かっているわけですね。で、じゃ、このタワラモトンタクシー事業では、全額町の負担になりますけど六百八十円です。
要は、国と地方の予算全体で見るとタクシー運賃補助の方がずっと安くて、かつ町民にも感謝されて利便性がアップしていると。ただ、町として見ると負担が増えているので、是非ともこのタクシー利用補助に対しても国からの支援をお願いしたいという要望がもう既に上がっております。
私、法律に事業を法定化しておきながら何もしないというのはあり得ないと思うんです。是非、国交省として、来年度予算で予算要求していただくということをお約束をしていただきたいと思います。お願いします。
○副大臣(青木一彦君) 私が尊敬し、敬愛している山本さんの方から御質問いただきました。
 国交省といたしましても、地方の抱える大きな課題、その一つが、やはり中山間地あるいは離島等の過疎化、高齢化を迎えている地域のやはり公共交通の在り方だと思っております。
この度、参議院におきましても成立した改正地域公共交通活性化再生法におきまして、地域における移動ニーズに対応し、できるだけきめ細かな対応ができる、市町村等が中心となった取組の枠組みを強化するよう促すとともに、国としても財政面でノウハウ等をしっかり支援していくことといたしております。
おっしゃいました田原本町、私もいろいろ調べさせていただきました。これ本当は、やはり地域地域の実情に応じた多様な移動手段を検証しなければならないと思っております。その優良事例の一つだというふうに認識もいたしております。
ただ、現在、タクシーは公共交通機関としての役割を担っているものと認識しておりますが、現在は、乗り合いのデマンド交通の車両として活用する場合には国費の補助の対象の支援を行っておりますが、タクシー単体では行っておりません。
今後、おっしゃいましたように、利用客数含めましてやはり地域にしっかり根付いたものをつくっていくのが私らの立場でございますので、引き続き検討をしてまいりたいと思います。
○山本香苗君 是非、青木副大臣におかれましては、引き続き、是非ともこの来年度の予算にきちっと盛り込んでいけるように力を合わせていっていただきたいと思っておりますので、この辺りで詰めないで、このテーマにつきましては終わらせていただきたいと思います。
 青木副大臣、こちらで大丈夫です。ありがとうございます。

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