2021年1月22日金曜日

「緊急事態宣言を踏まえた生活困窮者支援に係る緊急提言」を加藤官房長官にお渡ししてきました。


【動画】https://youtu.be/VZLHzKkvj5M

 1月21日、公明党新型コロナウイルス感染症対策本部と私が座長をつとめる生活支援プロジェクトチーム、谷合さんが座長の自殺防止対策プロジェクトチームで、「緊急事態宣言を踏まえた生活困窮者支援に係る緊急提言」を加藤官房長官にお渡ししてきました。

 新型コロナウイルス感染症拡大により、弱い立場にある方々が更に厳しい状況に追い込まれています。こうした厳しい状況を視察や支援現場の方々からのヒアリング、そして公明党の国と地方のネットワークを通じて把握してまいりました。

 そこでまず住居確保給付金の見直しを強く要望しました。この制度は今年4月に対象拡大をし、この間、飛躍的に利用件数が増えていますが、1人人生一回しか利用できないという制限があり、いったん増収となった方が再び減収になった場合など再申請できないという課題が支援現場から寄せられていました。この制限を直ちに見直してもらいたいということを強く要望するとともに、収入基準と支給上限額の引き上げの検討等についても重ねて要望しました。

 また、雇用対策として、雇用調整助成金の特例を緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月まで現行水準のまま延長することや、休業支援金等についてのきめの細かい相談体制や緊急雇用創出事業の実施の検討等も要望するとともに、生活保護の弾力的運用や緊急小口資金等特例貸付の償還免除等についても、支援現場の状況も含め、様々お話させて頂きました。

 加藤官房長官からはすぐできることとできないことがあるが、しっかり受け止めると前向きに対応して頂きました。

 今回の緊急提言は第一弾であり、引き続き公明党として生活困窮者支援に全力で取り組んでまいります。

緊急事態宣言を踏まえた生活困窮者支援に係る緊急提言

http://www.yamamoto-kanae.com/documents/20210121teigen.pdf

令和 3 年 1 月 21日

内閣官房長官

加藤 勝信 殿


緊急事態宣言を踏まえた生活困窮者支援に係る緊急提言

公明党新型コロナウイルス感染症対策本部

公明党生活支援プロジェクトチーム

公明党自殺防止対策プロジェクトチーム

新型コロナウイルス感染症拡大によって、弱い立場にある方々が更に厳しい状況に追い込まれています。新型コロナウイルス感染症拡大に関連する解雇や雇い止めは今月 8 日時点で見込みを含め 8万人を超え、緊急事態宣言再発令により、今後更に増えることが懸念されています。また、自殺者数は昨年 7 月以降、5 ヶ月連続で増加し、特に女性や子ども・若者が深刻な状況になっています。私たちはこうした厳しい実態を直視し、国を挙げて速やかに生活困窮者支援に取り組まねばなりません。

そこで、公明党新型コロナウイルス感染症対策本部並びに公明党生活支援プロジェクトチーム・公明党自殺防止対策プロジェクトチームとして、以下の通り、生活困窮者支援に係る緊急提言を行います。政府におかれましては、可及的速やかに対応することを強く要請いたします。

                  記


1.住居確保給付金の見直し

住居確保給付金は、解雇や事業主都合による離職以外は再申請が認められず、かつ 1 人人生一回のみの利用という制限がある。これにより、本来支給を受けるべき方が申請を躊躇したり、又はいったん増収となった方が再び減収となった場合再申請できないといった課題が支援現場からあげられている。また、収入基準が低すぎるため、困窮しているにもかかわらず申請すらできないケースも全国各地で多く見られる。

こうした実態を踏まえ、新型コロナウイルス感染症拡大の中で住まいを失うことがないよう、またすでに住まいを失った方も取り残さないよう、一人人生一回のみという制限を速やかに撤廃し、再支給を可能とすること。あわせて新型コロナウイルス感染症拡大の特例として、収入基準と支給上限額の引き上げを検討すること。

また、住居確保給付金の求職活動要件については、フリーランスなど多様な働き方を推進する観点から要件の在り方を検討するとともに、求職者支援制度との併給調整についても、支援ニーズを踏まえて見直しを検討すること。

2.雇用対策の強化

① 雇用調整助成金等の特例を緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月まで現行の水準のまま延長すること。

② 休業支援金・給付金等休業手当に関する相談体制を整備し、休業手当がもらえず困窮している方々にきめ細やかに対応する体制を整備するとともに、事業主が申請に協力せず、休業の事実が確認できない場合であっても、労働条件通知書やシフト表、給与明細など客観的な資料を用いて支給手続きを進められることをテレビやSNS等あらゆる媒体を活用して広く周知徹底し、就業者・事業主双方の理解促進を図ること。

③ 「休業手当よりも、実際仕事をして賃金を受け取りたい」という労働者の意向を踏まえ、「産業雇用安定助成金」を活用した在籍型出向や兼業・副業の適切な運用を推進すること。

④ 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で経済の状況が悪化し、解雇・雇い止め・内定取り消しなどにより職を失った方や緊急小口資金等特例貸付などを利用されている方などを国や地方自治体の事業において優先的に雇用するよう、最大限配慮すること。また、雇用情勢を注視しつつ、地方自治体が直接雇用又は民間団体等に業務を委託することで、次の雇用への一時的なつなぎの雇用の機会を創出するための緊急雇用創出事業の実施を速やかに検討すること。

⑤ 求職者支援制度については、福祉事務所や社会福祉協議会等関係支援機関と連携できめ細やかに制度の周知を図るとともに、訓練内容の多様化を図るなど使い勝手の良い制度に改善すること。トライアル雇用を活用した再就職支援等についても、関係機関と連携して、効果的な活用を図ること。

3.緊急小口資金等特例貸付等

① 緊急小口資金等特例貸付については、償還開始時に住民税非課税であれば全額一括免除するとともに、債務免除益を非課税とする措置を速やかに講ずること。あわせて、非課税でなくても償還が困難と見込まれる場合は都道府県社会福祉協議会会長の判断で柔軟に免除できるよう、償還免除を含む償還の具体的な要件・手続きを早期に明確化すること。また、今年 4月以降における対応については、新型コロナウイルス感染症拡大の状況等を踏まえて検討すること。

② 生活福祉貸付等他に借金があった場合や失職した時期が新型コロナウイルス感染症前であったとしても家族の収入など総合的に勘案し、緊急小口資金等特例貸付の利用が図れるよう、周知徹底すること。

③ 新型コロナウイルス感染症を受け、ローンを返済できなくなってしまった個人や個人事業主に新たに適用される「自然災害債務整理ガイドライン」に基づき、弁護士や司法書士による特定調停手続を活用した債務整理を推進するとともに、債務整理の対象に緊急小口資金等特例貸付も含まれることを明確にすること。その支援の入口として、生活困窮者自立支援制度の家計相談支援事業の拡充を図ること。

4.生活保護の弾力的運用

生活保護は国民の権利であり、保護を必要とする方がためらうことなく生活保護が受給できるよう、生活保護についての誤った知識・先入観を払拭する広報を大々的に行うとともに当事者に寄り添った対応がなされるよう、国から強く自治体に対して要請すること。特に扶養照会については、個々の状況に応じて当事者に寄り添った配慮がなされるよう、自治体の対

応を促すこと。

あわせて、新型コロナウイルス感染症がおさまれば一定の収入が見込まれるケースも多いことから、資産要件や転居指導、稼働能力、車の保有等について一定期間(例えば1年間)猶予するなど「入りやすく出やすい生活保護」をコロナ特例として実施すること。併せて生活保護と生活困窮者自立支援制度の連携をより一層強化し、切れ目なく支援する体制を構築すること。

5.社会保険料の猶予等

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業等に係る収入に相当の減少があった事業主は申請により、1年間、特例として厚生年金保険料及び労働保険料等の納付が猶予されているが、特例終了後も、さらに猶予が必要であれば、既存の猶予制度を活用し、猶予を延長できることを広く周知徹底し、手続きを促すこと。国民年金保険料の免除・猶予、学生納付特例

申請についても改めて周知徹底すること。

6.政府備蓄米を活用した食料支援の実施

子ども食堂のみならず、生活困窮者支援のために政府備蓄米を活用するとともに、フードバンクの活動支援を引き続き実施すること。

7.孤立している子育て家庭への支援の強化

子ども食堂や子ども宅食等子どもの見守りを通じて生活に困窮している子育て家庭への支援を実施している民間団体の活動を支援するため、支援対象児童等見守り強化事業を引き続き実施するとともに、困窮している子育て家庭を支援する子どもの学習・生活支援事業における家庭と学校や地域をつなぐ役割やアウトリーチ機能を評価し、拡充を図ること。

8.相談支援の充実・強化

生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関における相談件数が急増・深刻化しているが、個別支援計画と個別支援が追いついていない。こうした実態を踏まえ、相談支援員を速やかに増員するとともに超過勤務や休日出勤に対する手当の支給、待遇改善が図られるよう、国として最大限支援すること。

また、相談支援そのものが支援の一つであり、かつ相談支援によって相談者の生きる意欲など大きく左右することから、相談支援の質の向上を図るため、オンライン研修やベテラン職員によるサポート、相談員間の情報共有・意思疎通の機会の確保等支援者支援の充実も図ること。

9.自殺防止対策の充実

女性や子ども・若者の自殺が増えている実態を重く受け止め、民間団体が実施しているSNSを活用した自殺防止に関する相談及び都道府県等が行っている電話相談支援体制を拡充すること。

ネット上における自殺を誘うような書き込みを民間団体等とも連携して幅広く監視し、速やかに削除を求めるとともに、インターネット上で自殺願望を発信している若者や女性などへの相談体制の強化・安心できる居場所の確保を図ること。特に女性については、医療との連携で心のケアなどを含めた支援策を強化すること。また、子どもたちの SOS を受け止めるため、IT を活用した精神不調アセスメントツールを学校現場等に早期に整備すること。

10.支援を着実に届ける仕組みの構築

各種支援制度があっても支援が届いていない実態を調査するとともに、支援対象者の立場に立って、わかりやすく説明し、申請をサポートする体制を、行政書士等民間の力も活用しながら構築すること。また、個人情報保護も厳守しつつ、制度利用者リストを支援関係者間で共有し、有効と思われる制度のお知らせチラシを送付するなどプッシュ型の取組やアウトリーチによる取組を積極的に推進すること。

11.コロナ禍における生活困窮者支援の検証・分析

コロナ禍における生活困窮者支援の現場でこの間起きていたことやそこから得られた教訓を社会全体で共有し、次につなげていくことが重要であり、コロナ禍における生活困窮者支援を調査・検証・分析していくための検討会を設置すること。と同時に、生活困窮者支援においてはスピード感が重要であり、生活困窮者に日頃から接している支援現場から随時課題を吸い上げ、手遅れにならないよう、政策にタイムリーに反映していく新たな仕組みを構築すること。

以上


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